サイコセラピーはフロイトから始まり、伝統的に夢を用いてきました。さらにユングは、夢だけではなく、あらゆるイメージを象徴的にとらえ、心を癒す道具としました。これらは深層心理学と呼ばれます。
セラピーを受けていると、心の深層にアクセスしますので、それに答えるかのように、心がいろいろなイメージでメッセージを送ってくることも少なくありません。時には夢を通して、またはセラピーのセッション内でのイメージ・ワーク時に現れます。
表面的な自分より大きく、無意識をも包括するこの”自己”を、アメリカのユング派は、好んで”サイキー”(psyche–サイコロジーの語幹で、ギリシャ語由来。このブログのタイトル”プシケ”はギリシャ語発音に近づけてあります)と呼びます。もともとのギリシャ語は魂に近いような意味合いがあります。
イメージでのワークをセラピーで続けていくと、この”サイキー”がある方向に導こうとしているかのように、見えることがあります。
例えば心が回復するのに必要なイメージが出てきたり、メッセージが思い浮かんできたりなどです。またイメージ自体が深く心を癒すこともあります。
賢者のように何かを深く知っている人物が現れたり、宗教のある人なら、その信仰対象となる存在(カソリックを信仰していたら、聖母マリアなど)が見えることもあるでしょう。または、形もなく、ただ光のような存在かもしれません。ユングは、これらのものを、文化の違いを超えた”原型”と呼びました。
このようなイメージが現れると、自分の中の聖なるものと接したかのように感じるかもしれません。または、宗教体験や神秘体験のように思われることもあります。実際にユングは多くの神秘体験をした人でした。
人間の魂、”サイキー”は、自分を癒すすべを知っているのです。
表面的な自分は不安だったり、自信がなかったりするかもしれません。しかしそれは現在の自分が知っているごく限られた、狭い範囲の自分です。
心のもっと深い部分へアクセスすると、そこには大きな可能性が眠っているのです。それは根底からの癒しであるだけではなく、小さな、縛られた自己から解き放つプロセスでもあります。
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