効果的なコミュニケーション1–感情的にならないことで差が出る

はっきり言うか、感情的に言ううか 家族関係・対人関係

理解し合うことの大切さ

家族間や夫婦間の最も多い問題に、「お互いに分かり合えない」ことがあります。このような状況が慢性的に続くと、一緒に生活するのがつらくなってきます。

そんな時、特にカップルセラピー (夫婦・パートナー間のカウンセリング) でよく取り上げることの一つに、「効果的なコミュニケーション」があります。

言いたいことをただ感情的にぶつけては逆効果

まず、わかってもらえない、という状況では、「相手にわかってもらえるように伝えていない」という可能性があります。

積もりに積もった思いは、感情の強さも大きくなっています。ですから、そのまま感情的に相手にぶつけがちです。その経験は誰にでもあることと思いますし、気持ちもよくわかります。しかし、ここで考えてみるのは、はたしてそれが効果的か、ということ。

突然感情をぶつけられた側に立ってみましょう。どんな反応をするでしょうか?

言われた内容よりも、「感情を突然ぶつけられた」ことで、まず多かれ少なかれショックを受けるでしょう。そして、「感情をぶつける」という行為が攻撃的に感じるので、その攻撃性に怒りを感じることが少なくないと思います。そして、瞬時に防御反応がでて、対抗しようとして、口論になります。

つまり、感情的なもの言いは相手の感情を煽るだけで、伝えたい内容をしっかり理解してもらうところまでたどり着かないことが多いのです。言いたい内容がどれほど正当なものだとしても、感情の部分で引っかかってしまい、単なる感情と感情の戦いになりがちなのです。こうなると、売り言葉に買い言葉で、お互いのネガティブな面ばかり引き出してしまう状態になります。

これでは効果的なコミュニケーションからほど遠くなってしまいます。そこになんらかのメリットがあるとしたら、言いたいことを言いたいように表現した、という満足感ぐらいしかありません。それでさえ、その後の口論でのストレスを考えると帳消しになってしまうでしょう。その上、「こんなに感情的になるのはおかしい」と相手に逆に批判され、屈辱的に感じることもよくあることです。結果的に、「やはり理解してもらえない」という思いが強まってしまいます。

相手にわかってもらえる言い方に重点を置く

「わかれ!」と突きつけるように言うと、どうしても反感を買います。もしかしたらわかってもらえるかもしれないことでも、そのチャンスを逃してしまいます。

今までAさんにわかってもらえなかったことなら、それはAさんにとってわかり難いこと、気づき難いことであるはずです。受け入れ難いことでもあるかもしれません。それならば、ただ叫んだだけでわかってもらえると考えるのは少し無理があります。

そこで、わかってもらえる確率を少しでも高くするには、「相手に受け入れやすい言い方をする」ということが望まれるのです。

はっきりと、しかし、感情的にではなく伝える

はっきり言うことと、感情的に言うことの違いを理解することが大事です。

例えば、家族とのバウンダリーの問題で、自分で決めたことなど、しっかり自分の意思を伝えることが必要なことがあります。しかし、自分の主張をする時、感情的になったり、感情を爆発させる必要はありません。

ですから、大切なことほど、注意深く、冷静に主張する必要があります。

このように言うと、抵抗を感じる人もいます。その理由は、「家族なのだから、そんなに持って回った言い方をしたくない、しないでいいはずだ」という抵抗感です。

しかし、もし自分が反対の立場で、突然家族から感情をぶつけられ、批判されたらどう感じるか考えてみてください。まず、なんでそんなに怒るの?と思うでしょう。そして、なぜもっと普通に話ができないのか、違う言い方で言ったら理解できたのに、と思うかもしれません。

つまり、「言い方」によって、批判の矛先が逆に自分に向いてしまうのです。(続く)

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