コンピューターのオペレーションシステム、Windows VistaとWindows 10、どちらが好きですか?
Windows 10のほうが快適と思う人がほとんどでしょう。
なぜだか考えてみてください。
まず、無駄が少ない。いらないものがあまり入っていない。シンプルである。よって、パソコンの起動が早くなり、動作も軽快に行えるのです。ソフトウェア同士の互換性などの心配も低くなるでしょう。ですから、余計なことに気を回す必要も少なくなります。
私たちの心も同じようなものです。葛藤の少ないシンプルなシステムだと、動作がスムーズになるのです。
私たちはいわば、ひとりひとり特別なオペレーションシステムで心を動かしており、カスタマイズしなければ、そのまま勝手に動き、時々周りの状況によって自動更新されるのです。
ビリーフシステム、という言葉があります。ビリーフは信じていること、システムは体系のようなものですから、信念体系、思考体系と訳されると思います。少し重い訳語で、哲学的な響きがあり、もっと身近に、気軽に考えてほしいので、ここでは英語のまま使いたいと思います。
この「ビリーフシステム」が私たちの心のオペレーションシステムであり、そこからいろいろな感情、反応、好き・嫌い、生理的反応などが呼び起こされます。
例えば、男性問題で苦労をした人は、ネガティブな「男とは〇〇である」というビリーフを知らず知らずのうちに強く持っているかもしれません。そして、それがフィルターとなり、世の中を見つめることとなるので、結果的にそのネガティブな面が浮き彫りになって見えてきてしまうのです。また、そのネガティブなビリーフを持てば持つほど、そのビリーフに当てはまるような人に出会ってしまうという不思議な現象も起きてきます。
また、「〇〇でなくてはいけない」という思い込み、自分に対するプレッシャーもビリーフの一つです。そして、その場合、「〇〇」でない時に苦しみが生まれます。反対に「〇〇でなくてはいけない」というビリーフがない人には、苦しみはありません。
すぐにはピンとこないかもしれませんが、私たちにはこのようなビリーフが非常に多くあり、時にはソフトウェア同士の競合のように対立し、葛藤を生み出しています。
つまり、このようなビリーフ、固定観念が少なければ少ないほど、心の動作も軽やかになってくるというわけです。
「自分は弱い」「何のとりえもない」「誰も私を必要としていない」「自分には生きている価値がない」などという思いで悩む人もいますが、このようなものもすべてその人のビリーフです。その人が、自分で自分のことを決めつけているのです。まずそこに気づく必要があります。
なぜなら、心の中に起こる考えは、絶対的な真実ではないのです。あらわれては消える幻想のようなものです。これは瞑想で心を見つめると、よくわかります。
問題は、私たちが生き生きと生活していくのに役立たない考えを信じ込み、さらに多くの考えを作り出して、自分の存在を否定してしまうかのようなビリーフシステムを強固に確立してしまうことにあります。
このような苦しいビリーフシステムの裏には、トラウマがあったり、他人と比べられる環境に置かれたり、親のネガティブな見方が心に深く刻みこまれていたりします。その植え付けられたビリーフが固定化すると、それによって感情反応や体の反応が出てくるので苦しくなるのです。そのままにしておくと、なかなか自分のビリーフシステムから逃れられないことにもなりがちです。
感情問題の多くがこのビリーフに関わっています。なぜなら、ビリーフと感情は密接につながっているからです。
セラピーは、この心のOSともいえるビリーフシステムを見直して、いらないもの(トラウマが元となっている反応や不要なビリーフなど)を取り除き、心がもっと自由に、楽に動けるようにしていく過程でもあります。
ただ、心全体がうまく動くためには、いろいろなアングルから心の問題を見て、解消していかなければなりませんので、瞬時に変わるわけではありません。
イメージとしては、敵の要塞(うまく作動していないビリーフシステム)をあちこちから攻めて(セラピーでの技法)、崩していくような感じです。そして、この要塞が崩れてきて、次第に自分の軍勢が優位に立つと、心は苦しみから解放されて、深い癒しが生まれます。
参考記事:
トラウマが心に与える影響
セラピーの技法
ネガティブ思考を止める1つのテクニック
自己嫌悪を克服するために効果的な考え方
感情を手放せない理由
緊張感を解き、心をリラックスさせる方法
自分を裁かない
自分を信じる
ポジティブ思考への持っていき方 1
ポジティブ思考への持っていき方 2
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