よい(肯定的)思考を育むには 3

よい思考を育むには3 心・感情

 

よい(肯定的)思考というと、太極拳の先生を思い出します。先生は中国人で、楊氏太極拳の武道家としてよく知られた方です。私も先生との交流から、気について様々な体験をさせていただきました。

私があることでうまくいかない時がありました。特に相談しようと思っていったわけではないのですが、近況報告のつもりでそれを先生に告げました。

すると、「そのようになる、と思ってやるべきことをやればうまくいく」とアドバイスしてくれました。

その時は、「そんなふうに考えることもできるな。よいアドバイスだな」と思いながらも、その言葉を信じることができませんでした。「そうはいってもうまくいかないだろう」という考えが大変強く、その威力に流され、時が過ぎ、結局うまくいかなかったのでした。

ただ、先生の言葉に力があったので、よく覚えていたのです。

それから数年経ち、久々に先生のもとを訪れると、先生は末期の前立腺がんを乗り越え、ちょうどクラスを再開したところでした。

末期ですから、体はものすごくやせ細り、家の中を歩くのも容易ではなく、保険会社はホスピスケアをつけてくれるといったそうです。しかし、それを断り、「死ぬ時は死ぬのだから」と気功を信じ、タントウ功という気功の最も基本的で、最もパワフルな、ただ立つのみの気功でがんを克服したのです。西洋医学の治療はせず、がんは完全に姿を消しました。

がんは消滅したとはいえ、ご高齢ですし、体はまだ弱い状態です。以前先生は、病気や風邪とは全く無縁で、歩く速さもスタミナも若者並み、ハワイでスキューバダイビングをするのが好きでした。しかし数年前に食中毒にあってから、先生の体力が目に見えて落ちたことを知っていたので、私はとても心配しました。

でも先生は「よくなっているよ」といいます。痛みはあるのか、本当に大丈夫なのか、と細かく聞いても、大丈夫と言います。

また別の日に訪れた時に体の状態を聞くと、「毎日よくなっているよ」とはっきりいいきりました。

その時ようやく私は、「先生は『よくなる』という考えに自分の心を向け、体の回復の助けとしているのだ」と悟ったのです。

そして以前に私にしてくれたアドバイスも、私が信じて実践すべき大切なことだったということがわかりました。

それからは心配そうな質問はかえって先生の治癒の妨げになると思い、先生の「よくなる」という言葉に同調するような言い方をするようにしました。

人の心は様々な思いにあふれています。大きな駅で待つ無数の人々が、それぞれ違った目的地を目指していように、一つ一つの思いは違った方向を目指しているかのようです。そのなかで、強いよい思考は、雑多な目的地ではなく、いくつかの絞られたよい方向へ行くためのガイドとなってくれます。

よい思考を持ったからといって、次の日すべてが解決するわけではありません。また、その通りになる保証もありません。しかし、心がある方向を向くと、やはりその向いた方に物事は動きやすくなるものです。

それだけでなく、よい思いは、それ自体が持つ心身へのよいエネルギーで、本当によくなるまでに私たちがしなくてはいけない努力のつらさを軽減してくれることでしょう。


参考記事:
よい(肯定的)思考を育むには 1
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