自分が嫌い、自分がわからない、自分がない・・・、などと悩む人は大変多いです。
しかし、この「自分」と思っているものは、単に今まで心で経験してきた考えや感情の総合であり、本当の「自分」ではありません。
このような考えが、終始頭の中を自動的にまわっているだけなのに、それを「自分」と錯覚しているのです。その内容を「嫌だ」「情けない」などと批判して、私たちはこの自動思考に、さらなるネガティブな考えを加えていきます。
すると、その「ネガティブ」な思考は止めどもなくなり、大きく大きくなってしまい、「自分」が圧倒されるようになります。このようになると、いろいろな心の症状が出てきて、耐え難い苦しみを感じるようになります。
人間の心の底には、すべてのものに気づいている明瞭な意識があります。それは私たちの賢者の部分です。誰にでもあるのですが、様々な条件づけによる自動思考に曇らされて、見えないだけなのです。
この賢者の部分にすぐ気がつけなくとも、この「自動思考」が「自分」でない、と理解することで、少しづつ心を曇らせている考えが少なくなっていきます。そうすると、心が静かに、落ち着いてくるようになります。
サイコセラピーのワークで、条件づけを少しずつはずしていくことも、この賢者の部分に近づく方法の一つです。