うつの症状とアドバイス
うつの症状とアドバイス
私たちの生活には自然な浮き沈みがあり、時々落ち込んだりするものです。しかし、虚無感や絶望感が強くなり、生活に支障が出てきた場合には、うつの可能性があるかもしれません。
うつの状態では以前のように物事を楽しむのが難しくなります。一日を切り抜けるのさえつらく感じられるかもしれません。しかし、どれだけ絶望的に感じても改善することは可能です。
うつとは何?
うつは単なる悲しみとは違います。人によっては、運命が重くのしかかっているかのように感じたりするかもしれません。また、悲しみを感じないうつの人もいます。生き生きとしたものを感じられなかったり、すべてが空虚に感じられたり、物事に無関心になったり、自分の気持ちが容易に感じられないかもしれません。特に男性は、攻撃的になったり、怒りや落ち着きをなくしたりすることもあります。
うつになると、仕事、勉強、食事、睡眠、物事を楽しむ能力が失われてきます。絶望感や無力感が強く、なかなか軽減しません。
うつの症状
うつの症状には以下のようなものがあります。この中のいくつかに当てはまったら、注意が必要です。
- 絶望感、無力感。何をやってもよくならない、変わらない、何をしても改善できないという感覚。
- 日常生活に対する興味を失う。以前に行っていた趣味、娯楽などの活動、人づきあいなどに対して興味を持たなくなる。喜びを感じられなくなる。
- 食欲や体重の変化。顕著な体重の現象、または増加。
- 睡眠パターンの変化。不眠症、または長時間の睡眠。
- 怒りやいらいら感。動揺したり、落ち着きがなくなる、または暴力的になる。短気になり、すべてが気にさわる。
- 気力がない。疲れやだるさを感じ、消耗感がある。体が重く感じ、些細なことをするにも疲れ、終えるのに以前よりも時間がかかる。
- 自己嫌悪。罪悪感または自分が役に立たないように感じる。自分の間違いや欠点をきつく批判する。
- 無謀な行為。アルコールに依存する、ギャンブルに夢中になる、危険な運転の仕方をするなど。
- 集中力がない。何かに集中したり、決断する、または物事を思い出すことに支障がある。
- 説明のできない体の痛み。頭痛や腰の痛み、筋肉痛、胃痛などの体の痛みが増す。
うつをどう考えたらいいのか
もし上記のような症状があったら、なるべく早く対処方法をとりましょう。心理療法はうつに効果的です。すぐに薬に頼らなければならないわけではありません。
体はすべてが微妙なバランスで働いています。それをただ薬でコントロールしようとすると、バランスをくずす可能性があります。また、薬は効果があることもあれば、それほど効果がない場合もあります。身体への副作用だけではなく、稀にですが、突然自殺衝動が出るなど、抗うつ剤に関連した精神的な副作用も現在多数報告されております。精神科医が薬を変えた直後にそのような自殺衝動がでたという報告を、私自身クライアントから受けたことがあります(別の薬に変えたところ、その衝動はすぐに消えました)。
ですから、薬をのんでいる方は、そのような感情・思考の変化によく注意しなければなりません。
もちろん、薬をのまなくてはならないような状況もあります。しかし、薬を試す前に、できたら、心理療法を試す、日常生活を規則正しいものに正す、運動をするなどをぜひ行っていただけたら、と思います。
身体の病気のためにうつ症状・またはうつに似た症状が出ている可能性もありますので、随時医師の診察を受けてください。
うつになるきっかけ
精神的・肉体的疲労、親しい人を亡くすなど精神的打撃やショック、トラウマ、家庭内の問題、人間関係の悩み、女性では出産後などホルモンの変化など。なんらかのストレスがきっかけで心が暗くなったり、落ち込むなどの状態が解消されずに続き、うつになると考えられます。
うつとセラピー
うつの時には、話せない状況にあったり、話してはいけないかのように思ったりなど、気持ちが抑圧されたりしていることが大変多いです。自分の感情を表現したり、話したりすることは、症状を軽減していくのに役立ちます。もし現在の状態がトラウマからきている場合、まずそのトラウマのワークをする必要があります。家庭問題などで落ち込みが続いている場合、その問題の解決に向けた具体的な方法をセラピストと探っていくとよいでしょう。
うつになると考え方が大変否定的になります。すべてか重荷に感じたり、圧迫感を感じたり、世界全体がネガティブなものに思えたりします。その場合、EFT イモーショナル・フリーダム・テクニックのような方法で、ネガティブな思考を弱めることが役立ちます。ネガティブな思考が弱まると、自然とポジティブな思考に心が向いていきます。話すだけのセラピーより、感情・思考が乱れた時に体のエネルギー(気)が滞ることに注目し、それを解消していくEFT、心の中の心的イメージを変えることで感情を効果的に改善するイメージ療法のようなテクニックを使うことにり、さらに効果が高まります。
行動・認知療法的な視点も随時取り入れて行っていきます。
アドバイス
1. うつの時には、心が苦しく、行動する気が起きません。しかし、そのままにしておくと、うつ状態が長引いたり、悪化する場合もあります。動かずに長い時間座っていたり、何も活動しなかったりすると、血行も悪くなり、気分が回復しにくくなります。できるだけ体を動かしましょう。
2. 生活を規則正しくしましょう。一日のスケジュールをある程度決め、時間がきたら、気が向かなくてもなるべくやるようにしましょう。そのようにしないと、徐々に行動するのが難しくなっていきます。スケジュールには、体の負担になったり、無理を強いるようなものではなく、楽にできること、今はやる気がなくなっていても、過去には好きだったことなどをいれましょう。
3. 食事をきちんととりましょう。食事は私たちの心身の健康に直接関係しています。うつの時は、どうでもいい、という気持ちになるかもしれませんが、バランスがとれた食事は大事です。
4. 笑うことも気分転換に大変よいことです。映画を見るなら、楽しいものを選ぶといいですね。そして、笑う時は心の底から笑ってみましょう。