イメージ療法・イメージワーク

イメージ療法・イメージワーク

視覚的なイメージは、意識と無意識を結ぶ、いわば橋のような役目をします。 暖かく、気持ちのいい野原を想像したら、ほとんどの人はポジティブな反応をして、リラックスした気分になりますね? 嫌いな人、嫌な経験があった場所を思い出すと、心にどんな変化がありますか? 嫌なイメージと好きなイメージでは、心の反応に大きな違いがあることがわかるでしょう。 これはイメージに、体と心に深い反応を起こす直接的で強いパワーがあるからです。このイメージ・心象を変えることで、気分を変える、心を癒すのがイメージ療法・イメージワークです。

心理学者ユングの象徴・イメージ

サイコセラピーの大家、ユングも「象徴」ということでイメージを利用したセラピーを行いました。私自身の修士課程でのメインのトレーニングは、ユング派のドリームワークでした。 ユング派のワークは、簡単に言えば、イメージとして現れる心の心象に気づく、表現することで心を癒す、ということが主体となっています。深い心の癒しを追及するワークになっていきますが、必ずしも早く症状を軽減するというのが目的ではありません。

アンブロックエナジーでのイメージワーク

ユング派の長期・洞察型セラピーのイメージの使い方と違い、心の症状・問題の効果的な解消を目的とするアメリカの精神科医、ジェラルド・エプシュタインのイメージワークに影響された方法を主に用いていきます。また、オーストラリアの臨床家、ジョン・メイスの「メイス・エナジーメソッド」は、ネガティブな感情が作り出した自己イメージを変化させることでパワフルな技法で、随時取り入れていきます。

即効性のある、パワフルなツールとしてのイメージ

イメージを、即効性のあるパワフルなツールとして使います。これは、私自身、そして多くの臨床家の経験にもあるのですが、話しているだけの、いわゆる「トークセラピー」だけでは、ネガティブな感情をはっきりと軽減できないことも多いのです。間違いのないように説明すると、効果がないわけではないのですが、時間が長くかかったり、話している間に思い出してつらくなる、しかしそれに対処する即効性のあるメソッドがない、ということもあります。 イメージを使うと、セッション一回でも感情の癒しが感じられ、心が楽になるため、セッション中や後に感情が大きくなりすぎて対応できない、ということがほとんどなくなります。

セッションの行い方

例えば自分の感情を表すイメージを変化させる、想像の中で消滅させる、などの方法で、嫌な感情がすぐにすっきりとなくなることもあります。これは、ジェラルド・エプシュタインのイメージワークです。彼自身、精神分析など従来の方法で、患者へのよい臨床効果がえられずに悩んでいた時に出会ったのが、イメージを使った癒しの方法です。話すだけでは、ただ堂々巡りになっていた感情が簡単に落ち着くことも珍しくありません。 不安やネガティブな性格パターンを乗り越えるためによい視覚イメージの練習を繰り返し行ったり、批判的な人などに影響されないように、自己を守るような光のイメージを描くのは大変効果的です。

意識的に行動を変えようとしても、深層意識の領域で、思考・行動・感情の連鎖反応が定着していると、変化は難しくなります。私たちは視覚イメージで考えるといわれ、そのためイメージを通じて直接無意識にアクセスし、問題を解消していくことが大変効果的なのです。頭で考えて、意志の力で変えようという努力が少なくてすむようになります。