カップル・セラピー

カップル・セラピーとは

日本では認知度が低いカップル・セラピーですが、アメリカでは、サイコセラピーの一つとしてしっかりと確立され、定着しています。様々な理論、技法があり、夫婦間、恋人間など、カップルの問題の改善・修復に特化したものです。二人の心理状態、コミュニケーションの仕方の違い、家庭での役割などを総合的に見て、二人の関係が円滑に行くために必要な事柄を提起し、「お互いの心を癒す、理解し合う」という目的を持ちます。

パートナーが日本語を話さないカップルのために、英語でのカップル・セラピーも承っております。

カップル・セラピーが役立つ状況

  • どうしても意見が食い違ってしまい、つらい
  • けんかが絶えないので、どうにかしたい
  • お互いへの不満があり、時々爆発してしまう
  • 気持ちをわかりあえない
  • 意思の疎通が難しいと感じる

二人の人間がカップルとしてやっていくのは、それほど容易なことではありません。これは、結婚している、していない、一緒に暮らしている、暮らしていないにかかわらず、ほとんど誰もが経験することです。愛情があっても、気持ちがすれ違ってしまうこともあります。「ここが変わればうまくいくのに!」ともどかしい思いをすることもあるでしょう。

二人だけで解決しようと試みると、私の意見VSあなたの意見、私のやり方VSあなたのやり方、と二人の間の際限ないパワーバトルで残念ながら終わってしまうことが多いものです。日本では伝統的に、夫婦間の問題に、親・親戚が介入することも多いですが、あまりよい結果にならずに終わる、または、かえって悪化することも少なくありません。

それは、中立的な立場にある人が問題の解決を試みていないため、偏った見方になっていること、そして、夫婦間の心理を知らずに強制的に行動だけを変えようとすることから起こることが多いと思います。

カップル・セラピーの流れ

カップル・セラピーは、多くの場合以下のような流れになります。

それぞれの立場をヒアリング

まず、二人の現在の状況を、それぞれの立場からお話ししてもらいます。セラピストは、私情を交えず、公平にお聞きします。

基本的には、お互いに歩み寄ることがよい結果を生みます。ただ、それを2人だけでやろうとしても、なかなかうまくいかないことが多いのです。問題を解決しようとする時に、どうしても自分の意見に固執して、お互いに引き下がらないということになりがちだからです。

お互いの気持ちを認め、意見、要望を伝え合う

お互いの気持ちを認め合うことはとても大事です。すると、歩み寄りたい、という気持ちが自然と生まれてくるものです。セラピストが二人の意見と気持ちを理解し二人の関係がよりよくなる方法を提案していきます。

例えば、Aさんはこのように感じていますが、Bさん、~をしてあげられますか?というように提案していきます。そして、今度はAさんにも、Bさんの気持ちを伝え、Bさんに役立つ提案をします。つまり、二人の要望をかなえる方向にもっていくのです。

長い間一緒にいると、知らず知らずのうちにお互いを傷つけあったり、ネガティブなパターンが定着していることも少なくありません。過去の傷やトラウマのために、日常の態度がとげとげしいものになってしまうこともあります。そのような時は、お互いの気持ちを認め合う、必要ならば、謝罪するということも、新たによい関係を築いていく上で、有効な方法です。

セラピストの役割

セラピストは、どちらか一方に味方するのではなく、両者を温かい目で見つめ、もっとも二人に必要なことを探っていきます。

セラピーでは、セラピスト自身の「カップルはこうあるべき」「男はこうあるべき、女はこうあるべき」という意見や社会常識で、2人を裁くことはありません。この点は、人生相談やそれに近いカウンセリングとははっきりと異なります。一人一人の心理、育った環境、価値観などすべてに留意し、二人がともに気持ちよく過ごせるような妥協点を見つけ、生き生きとした生活を促進していきます。

カップル・セラピーの効果

「今までずっと苦痛に感じていたけど、言えなかった」ということがあったとします。それを伝えることができ、かつ、理解された時、大きな癒しを感じるでしょう。一人ではそれをできなくても、セラピストがリードして、お互いを理解する、という大変パワフルな状態をつくっていきます。

「何回言っても相手に無視され、状況が変わらなかった」という場合も、セラピストが慎重な言い方で、相手に理解を求めます。そして、その相手に対しても理解を示し、その方の役に立つような関係を提案していく、という具合です。

パートナー間の関係がうまくいかないのは、妥協点を見つけられない、実際には比較的容易に変えられることも意地の張り合いになってしまって変えられない、ということがすごく多いのです。このような状態で何年も苦しい思いをすることも少なくありません。カップル・セラピストというパートナー関係の心理学の専門家が間に入ることで、長年のお互いへの感情のしこりが短期間で氷解することも、実はそれほど珍しくないのです。